みなさんこんにちは、これトチ!です。
「母の日」の花と言えば、カーネーションが定番ですが、最近はお母さんが好きな花や季節の花を選んで送る方が増えているそうです。
特に、梅雨の季節を華やかにしてくれる(彩る)「アジサイ(紫陽花)」は人気上昇中とのこと。
そこで今回は、鹿沼市でアジサイを栽培されている“谷田部園芸”さんをご紹介させていただきます。
今回の取材にご協力いただいた、有限会社谷田部園芸 代表取締役 谷田部 元照 様(写真右)は、オランダにて、10年に一度開催される国際園芸博覧会「フロリアード」等の大会で数々の受賞をされている凄い方です。
その実績もあり、大手企業からお客様へのプレゼントに使用する新種のアジサイの開発依頼を請けるなど、まさにアジサイ栽培の第一人者と言っても過言ではありません。
そんな谷田部様ですが、アジサイと出会うまでは、かなりのご苦労があったとのこと。
谷田部様は、高校卒業後、埼玉県行田市でポットマム(鉢植えのキク)の栽培研修を経て、実家の農業を手伝いながら、ポットマムの栽培を始められたそうです。
学生の頃から園芸家として生きるのが夢で、ポットマムを栽培するためのハウスを建設したものの、価格低迷が続き、ポインセチアを導入するなどの努力をしたそうですが、厳しい経営状態が続いたそうです。
そんな時、ハイドランジア(アジサイ)と運命的な出会いをされたそうです。
ポットマム栽培の研修先で育種に興味を持っていたこともあったそうですが、ハイドランジアに赤い糸のようなものを感じ、見た瞬間「これだ!」と思い導入を決めたそうです。
1978年にハイドランジアを導入して生産販売を始めると、手をかければかけるほど、美しい姿を見せてくれるハイドランジアの虜になり、新品種の開発に取り組むようになったそうです。
1990年には、地元の方と「鹿沼地区アジサイ研究会」を組織して、自家育成して品種登録した「ビーチ姫」の生産を開始。
1992年、オランダでのフロリアード‘92で「ピーチ姫」が1等賞を受賞。
2002年のフロリアード‘02では、「リップル」が金賞一席、「未来」が金賞2席、「ラブユーキッス」が金賞3席と、三席連続受賞を達成されたのです。
現在、谷田部園芸さんが品種登録(植物特許)されているのは約20品種とのこと。
その内、13品種程度を主に栽培されているそうです。
また、冬にはポインセチアを栽培されています。
それでは、栽培の様子をご紹介いたします。
アジサイの出荷は、3月下旬頃から始まります。
母の日がピークで、6月中旬ぐらいまで出荷されるそうです。
母の日のプレゼント用の依頼が多いため、出荷に合わせて開花するように管理・調整しています。
剪定作業の他、光の方向に曲がった茎や葉の形を整えるため、一つ一つ手作業で鉢を回転させています。
全部の鉢にたっぷりと水が行き渡るよう、鉢ごとに自動的に水を送る装置が取り付けられています。
学名Hydrangea(ハイドランジア)の意味は「水の容器」。
その名のとおり、アジサイは、基本的に水を多く好む植物とのこと。
家庭などで育てる場合、鉢の土の表面が少し乾いたら、株元にたっぷりと水を与え、受け皿などに溜まった水は、根腐れの原因になるので必ず捨てるのがポイントだそうです。
国際大会で受賞された花をご紹介いたします。
フロリアード‘92で1等賞を受賞した「ピーチ姫」
中国で開催された、昆明世界園芸博覧会‘99で金賞受賞の「ハッピーフレンド」
(登録名レディヨシエ)
(「ピーチ姫」も銀賞を受賞しました)
フロリアード‘02では、三席連続受賞を達成されました。
金賞一席の「リップル」です。
こちらは、金賞2席の「未来」です。
「エリエールアニバーサリー」(ピンクバージョン)です。
「エリエールアニバーサリー」は、エリエールブランド誕生30周年(平成21年春)記念に 合わせ、お客様へのプレゼントとして使用するために、エリエールティシューのパッケージに描かれているアジサイをイメージした花の開発依頼があったそうです。
花の輪郭など、パッケージデザインそのままの花になるよう、交配と選抜を長い時間をかけて繰り返したそうです。イメージ通りの花が完成した時の喜びは今でも忘れられないとのこと。
アジサイの花言葉は「移り気」「高慢」とのこと。
それを払しょくする意味を込めて、品種のネーミングは特に大切にしているそうです。
「今後も、お客様に楽しんでいただける花を作り、ハイドランジアの魅力を多くの方に知っていただきたい。そのためにも、お客様に喜んでいただけるような新品種の開発をしていきたい」とのお話もいただきました。
残念ながら、2012年のフロリアードは、震災の影響等で出品することができなかったそうです。現在は、2022年のフロリアードへの出品に向けて、更なる高品質の花を作れるよう取り組まれているとのこと。応援したいですね。
取材中も、お客様から育て方に関する問い合わせの電話が頻繁にかかってくるなど、非常にお忙しい中で取材にご協力いただきました。感謝申し上げます。
このホームページを見た皆様、たまには?大切な人に花を送ってみてはいかがでしょうか。
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≪お店情報≫
「谷田部園芸」
住 所:鹿沼市塩山町20
電 話:0289-75-3423
ホームページ http://yatabe-engei.com
※店頭販売はしておりませんのでご注意願います。
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≪推薦者情報≫
「谷田部園芸」様をご推薦していただいたのは、株式会社ユザワの湯澤隆司さんです。
≪湯澤さんからの推薦コメント≫
谷田部氏は高校時代の1年後輩で、クラブ活動を共にした仲間の一人です。
卒業当時は花導入の環境はよくありませんでした。しかし現在では、花の文化も、例えば、「男性から女性へ花を贈る」習慣など意識の向上がなされ、花卉業界は総合的に一兆円産業と 言われています。
そんな中、谷田部氏の開発したアジサイは、『エリエール30周年 母の日プレゼント』という大企業とのコラボレーションを成功させています。
また、生産と販売、特に育種・生産技術については植物登録(世界的特許)が約20品目あり、今後大いなる活躍が期待される方です。
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≪取材情報≫
取材日:2013年4月9日(火)
取材者:湯澤・黒﨑・松﨑