みなさんこんにちは、これトチ!です。
突然ですが、皆さん、建築家・隈研吾氏をご存じでしょうか?
最近では、格子をモチーフとした新歌舞伎座の設計にも携わり、平家を積層したような浅草文化観光センターなど、国内のみならず海外の物件も数多く手掛けている建築家です。
実は、栃木県内にはこの隈研吾氏が設計した建物が数多く存在しています。
今回、これトチ!では、那須町にある、「那須芦野・石の美術館 STONE PLAZA」と「那須歴史探訪館」、那珂川町にある「那珂川町馬頭広重美術館」と併設のカフェ「雪月花」を訪ねてみましたので、これから4回にわたってご紹介する予定です。
上記の建物は、完成年が同じ2000年ですので、既に10年を過ぎた建物になっていますが、現在はどのようになっているのか興味があり、今回訪ねてみました。
第1回目は、「石の美術館・STONE PLAZA」さんのご紹介です。
旧奥州街道に面しておりますが、道路からは割と小ぶりで気付かずに通り過ぎてしまう方も多いかもしれません。
ですが、その建物が放つ強烈な空間オーラはただものではありません。(笑)
地元の芦野石・白河石をふんだんに利用した、組積造の建物が建ち並んでいます。
その贅沢な使われ方は、この美術館の経営をしているのが地元の石材会社さんだからなのです。
まず、エントランスから入った建物の古い石造の蔵は、現在の建築基準法に合わせるために、 木造として改築されており、ここに受付、事務所、カフェ、ミュージアムショップなどが入っています。
カフェとミュージアムショップのみ利用の場合は、入館料は無料とのことです。
那須町散策の途中に立ち寄り、落ち着いた石の空間で飲むコーヒーは格別ですよ!
白井栄子館長(写真右手前)にお話を伺う、これトチ!取材陣。
ここには、隈研吾氏がデザインしたイス、カウンター、ルーバーなどに、地元石材の「芦野石」が積極的に活用されています。
水面を横断する通路を歩きながら、点在する各展示スペースを散策することができます。
また、その水面上には、石のカウンターとベンチが彫刻的に置かれています。
芦野石との新たなディテールのための闘いが各所に見受けられます。
鉄筋コンクリート造に貼られた石版ではなく、積層された芦野石、時にはルーバー化され、極力、鈍重な石のイメージを拭い去り、軽快にしているのではないでしょうか。
積層ながらも、細いディテールとし、いくつかのピースを抜き取り、大理石をはめ込むことで、そこから自然光を取り入れるなど、圧倒的な暗さの中での表現となっています。
石の茶室など、組積造の新たな表現としての挑戦をしながらも、一歩室内に入ると明らかに内部空間は石独特の空間に感じられます。空気の質が違うのか、ヨーロッパの礼拝堂、洞窟のような圧倒的な空気の重みを感じます。そこには何か原始的な、落ち着ける空間があるような気がします。
完成から十数年経ったことで、各芦野石に風化が見られ、味わい深い天然石の良さが出てきています。先の震災にて、一部のルーバーなどに破損がでたものの、特に大きな被害もなかったそうです。
石の圧倒的な素材感に対し、建築家 隈研吾氏が勇敢にも挑んだ、そんな雄大な空間と言えるかもしれません。
是非とも大切な人と訪れたい場所の一つではないでしょうか。
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≪施設情報≫
“那須芦野 石の美術館 STONE PLAZA”
住所 那須郡那須町芦野仲町2717-5
電話 0287-74-0228
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)・年末・年始
※詳しくは下記ホームページなどでご確認ください
入館料 [個人]
大人:¥800 小・中学生:¥300
[団体(15名以上)]
大人:¥700 小・中学生:¥200
ホームページ http://www.stone-plaza.com
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≪推薦者情報≫
「那須芦野・石の美術館 STONE PLAZA」さんをご推薦していただいたのは、株式会社酒井建築設計事務所の、酒井誠さんです。
≪酒井さんからの推薦コメント≫
まだ、今ほど世界的に有名では無かった頃の隈研吾氏の作品で(笑)、4年間の歳月をかけた建物で、隈研吾氏自身もこれほど厳しい条件のプロジェクトは無かったと言わせるほどのもの!!! 建物の各ディテールは玄人好みのもので、中々それらは一般的には評価されづらいのも事実、しかしその建築家の強い想いは、建物の節々より感じられます。
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≪取材情報≫
取材日 2013年10月23日(水)
取材者 酒井・浅沼・吉澤・黒﨑・松﨑