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“濱田庄司記念益子参考館”さん

Posted by これトチ! : 2014年9月4日

みなさんこんにちは、これトチ!です。

今回は、“濱田庄司記念益子参考館”さんをご紹介いたします。
また、濱田庄司益子記念参考館の館長で、濱田庄司氏の孫である、陶芸家の濱田友緒先生にもお話しを伺うことができましたので、併せてご紹介させていただきます。

濱田庄司氏は、1955年に第1回重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定、1968年には、民芸運動に寄与したことにより、文化勲章を受賞(陶芸家としては3人目)された方です。

濱田庄司氏の民芸品を芸術にまで高めた技術や発想は、益子の陶工たちに大きな影響を与え、「益子焼」の名を世界に伝えました。

濱田庄司記念益子参考館は、濱田庄司氏が作品づくりの参考のために自ら蒐集した品々を、多くの人に「参考にしてほしい」との想いから、1977年4月に開館された美術館です。
館内には、濱田庄司氏の作品、参考のために蒐集した品々、終生の友であった河井寛次郎氏、バーナード・リーチ氏らの作品等も展示されている他、住居、工房、登り窯等が公開されています。

それでは早速、館内をご紹介させていただきます。

●受付・1号館(展示室)

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県内から移築した立派な長屋門。入り口の上にある表示は、濱田庄司氏が書かれたものとのこと。
左側が受付と売店、右側が展示室になっています。

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1号館の展示室では、年に2~3回の企画展示が開催されています。

●2号館(展示室・写真右)、3号館(展示室・写真左)

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展示室となっている2号館(西洋やオリエントの蒐集品を展示)、3号館(日本や中国、朝鮮、台湾などアジアの蒐集品を展示)の石蔵は、真岡市から移築されたそうです。
立派な木材が梁に使用されています。

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●濱田庄司館(長屋門)

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1987年に移築された長屋門には、濱田庄司氏の作品や交流のあった作家の作品が展示されています。

●4号館(展示棟・カフェ)

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1942年に隣町から移築した母屋(地元名士の築92年の住居)は、濱田庄司氏が最も気に入っていた建物で、多くのお客様をもてなしていたそうです。
4号館の土間にある、カフェ「上ん台(うえんだい)茶房」では、濱田庄司氏デザインのテーブルや椅子などで、珈琲、紅茶、抹茶等をいただくことができます。

●工房

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濱田庄司氏が実際に使用していた手回しロクロもあります。各席からは、美しい庭を見ることができます。

●登り窯

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濱田庄司氏によって築かれ、実際に使われた登り窯。1943年に築窯され、1993年には益子町の有形文化財に指定されています。
来年には、期間限定(2015年1月24日~2月22日迄)で、この登り窯が復活するそうです。益子で最大級の大窯である、この窯に火が入るのは、40年ぶりとのこと。今から楽しみですね。

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今回の取材にご協力いただいた、濱田雅子様(写真右)と職員の方です。
2011年3月11日の東日本大震災では、貴重な作品や建物等が被災してしまったため、震災後、2号館、3号館の閉館を余儀なくされたそうですが、全国のファンの方々から「ぜひ益子参考館を復興して欲しい」との温かい言葉とともに寄付金が贈られ、2013年3月23日に再オープンしました。

濱田庄司記念益子参考舘ですばらしい作品を鑑賞された後は、実際に陶芸体験で芸術に親しまれてはいかがでしょうか。
陶芸教室を行っている窯元については、益子町観光協会等のホームページをご参照ください。

これトチ!で以前にご紹介させていただいた、“つかもと”さん(2012年9月13日掲載)、
“ヤマニ大塚”さん(2012年12月27日)でも陶芸教室を行っていますよ。

続いては、濱田庄司記念益子参考舘に隣接する「濱田窯」で、本焼き中の濱田友緒先生(以降、濱田先生)にお話を伺うことができましたので、ご紹介させていただきます。

濱田先生は、祖父が人間国宝の濱田庄司氏、父が栃木県文化功労者である濱田晋作氏です。
生まれた時から益子焼が身近にある環境で育ち、美大で更に技術を磨かれ、国内外で個展を開催する等活躍されています。
父晋作氏と共に、濱田庄司氏の理念や技術を受け継がれた濱田先生は、益子焼の伝統を守りながら、現代の生活の中に自然と溶け込む、新しい益子焼の作品を発表されています。

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濱田窯さんでは、登り窯で年2回、塩窯で年4回、本焼きが行われます。
登り窯は伝統的な窯で、益子の伝統的な釉薬をかけるときに使用。塩窯は、塩を釉として使うときに使用するそうです。
窯を分けているのは、窯に染み込んだ「塩」が、作品に影響してしまうからなのだそうです。
この「塩釉技法」は、ドイツで15世紀ごろに始まった技法で、約1300℃のところに塩を入れると、塩化ナトリウムがソーダ(ガラスの元)と塩素に分かれ、その作用で素地面にガラス状の被覆面が作られ、独特の質感が出るそうです。
実は、この技法を日本で最初に取り入れたのが、先生の祖父である濱田庄司氏なのです。

「ドイツでは岩塩を使用して作られています。塩はミネラル分の多いものでないと駄目なので、濱田窯では海水塩を使用しています。艶が出ているのは塩の色で、まだらに付着しているのが味わいです」と話された濱田先生。
先生は、イメージ通りの作品を作るため、塩にもこだわられているのです。

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塩は、長いスプーン状のもの(濱田窯では竹を使用)に乗せ、一度に約50kgも入れるそうです。

また、薪による焼成にもこだわられています。

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重要な燃料である松薪は、松ヤニの油脂を多く含み良く燃える「赤松」を使用。
しっかりと一年間乾かしてから使うと、最終的には全部燃えきるため、灰もほとんど残らないそうです。
最近までは益子町近辺の松を使用していたそうですが、松食い虫による影響で入手が困難となってしまったため、県産材として松の育成に力を入れている岩手県の松を使用しているそうです。

また、薪による焼成は、人手や温度のコントロール等の面からも難しいと言われています。

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塩窯での本焼きの場合、温度を調整しながら、昼夜行われます。
「火は燃料である薪が燃え切る頃に温度が上がり、薪を入れると、燃えだすのにエネルギーをとられるので、温度が30~40度下がってしまいます。下がった温度にプラス5度上がるようにして、それを積み重ねて窯の温度を上げていきます。焦ると温度が上がらない『窯が寝ぼける』という状態になることがあるので、温度の上昇と下降を考えながら、入れる薪の量を決めています」
焼成温度によって焼き上がりの色が変わってしまうため、常に陶芸用の温度計を見て慎重に管理されているそうです。

素早く入れて蓋を閉めないと、どんどん温度が下がってしまうので、正面と背面の各2つの焚口に4名で薪を入れます。

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薪を入れるだけの簡単な作業のように見えますが、1000度以上の高温に耐えなくてはならない難しい作業です。慣れないと、熱さに耐えられないため、蓋を開けている時間が長くなり、温度をさらに下げてしまう原因になってしまうそうです。

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薪が燃えてくると、一度上に上がった熱が行き場を無くし、地下道を通って煙突に行くので、煙突から煙と炎が出ます。音もかなり出ています。

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釉薬の状態を確認するために、窯から出したテストピース。
冷めてくると、どんどん鮮やかな色に変わっていきます。

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作品の制作、各地での講演などでお忙しい中、取材にご協力いただいた濱田先生に改めて感謝申し上げます。

窯への火入れのタイミング等もあり、見る機会の少ない本焼きですが、「見学施設ではありませんが、事前にご連絡頂けましたら、ご案内できます」とのことでしたので、ぜひ一度ご覧になってみてください。見学後は、益子焼が更に身近に感じられ、器などへの愛着が一段と深まること間違いなしです。

濱田先生の作品は勿論、伝統を守りながら新たな挑戦を続ける姿、益子焼の伝統を多くの人に伝えたいと活動されている情熱、その中にある優しい人柄に魅了された取材陣でした。

先生の今後の作品展等のスケジュールや作品の情報は、下記のHPやFacebookをご参照ください。
濱田窯ホームページ:http:// hamadagama.jimdo.com/
濱田友緒先生のFacebook:
http://ja-jp.facebook.com/pages/%E6%BF%B1%E7%94%B0%E5%8F%8B%E7%B7%92tomoo-hamada/256558621084506

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≪施設情報≫

「濱田庄司記念益子参考館」
住所    芳賀郡益子町益子3388
TEL   0285-72-5300
開館時間  9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日   月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館)
12月28日~1月4日(年により若干の変動あり)
展示替え休館:夏期および冬季(1月下旬~2月中旬ころ)
(1~2週間、年により変動あり)
臨時休館あり
入館料   大人 800円(700円)
子供(中学生・高校生) 400円(300円)
*カッコ内は、団体(20名以上)料金
*小学生以下は無料
ホームページ http://www.mashiko-sankokan.net

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≪推薦者情報≫

「濱田庄司記念益子参考館」さんをご推薦していただいたのは、株式会社外池酒造店の、外池茂樹さんです。

≪外池さんの推薦コメント≫

Image1昔、水瓶や土瓶を作っていた益子焼に用の美を見いだし、民芸運動を展開した、濱田庄司氏。
彼が世界中を巡り、集めた品々や庄司氏自身の作品を御覧になれます。古い農家を移築した建物は濱田氏が実際に暮らしたものです。文化の香りを感じてください。

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≪取材情報≫

取材日   2012年10月30日(火)、2014年3月26日(水)
取材者   益子・外池・根本・村上・黒﨑・松﨑

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