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韓国伝統工芸品“螺鈿(らでん)”。その神秘的な美しさに、魅せられて。 「青木ギャラリー 韓国伝統工芸作品館」

Posted by これトチ! : 2013年12月19日


みなさんこんにちは、これトチ!です。

今回は、宇都宮市にある北関東綜合警備保障株式会社 あんしん館ビル内にある、「青木ギャラリー韓国伝統工芸作品館」さんをご紹介いたします。

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「韓国伝統工芸作品館」は、平成24年7月16日、青木ギャラリーに常設展としてオープンしました。
韓国螺鈿漆器の第一人者で、吉正本螺鈿工芸院院長の吉正本(ギル・ジョン・ボン)氏の作品80数点が展示されている、日本で唯一の螺鈿工芸作品館です。

みなさんは、「螺鈿(らでん)」をご存知ですか?

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螺鈿の「螺」は、貝のこと。「鈿」は装飾品の意味。つまり、「貝の装飾品」です。
よく乾燥した木目の細かい木材(枯木)に布などを施し、そこに漆を塗って下地をつくり、その上に夜光貝(ヤコウガイ)、白蝶貝(シロチョウガイ)、黒蝶貝(クロチョウガイ)、あわび貝、ほら貝、真珠貝などの貝殻の内側、虹色の光沢をもった真珠層の部分を削ぎ取り、磨いて貼り付けて作ったものです。真珠層は何層にもなっていて、削る深さによってその輝きは変化します。
爪先ほどの細かい螺鈿細工を手作業で施していくために、小さなもので3~6か月、大作になると2~3年の期間を要します。

まさに、息をのむ美しさ。螺鈿の魅力・・・
その輝きは、海底で重厚な殻に守られてゆっくりと時間をかけて熟成された、まさに自然の産物。深く神秘的な光彩は、見る角度、見る者の心もちによっても、いかようにも変わるかのよう。その美しさ、奥深さは、表現する言葉が見つからないほど。いつまでも時間を忘れて見入ってしまう、そして、見るたびに魅了されてしまう作品です。

(注)螺鈿からの発光は、写真では表現できません。ぜひ実物を見に、足を運んでください。

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韓国の伝統文化との深いかかわり・・・
螺鈿細工に描かれている動物は、長寿として知られる、亀、鶴のほかに、カエルや子だくさんを象徴する豚など縁起物が多くあります。また、韓国文化では“雌雄がいてはじめて幸せである”という思想のもと、夫婦、親子そして家族として描かれています。
館内最大級の作品である「民族たんす」には、日本童話の「舌きり雀」や「花咲かじいさん」に通ずる、韓国童話「興夫伝(フンブジョン)」が物語として描かれています。そこに描かれた登場人物の喜怒哀楽の表情を、ものの見事に螺鈿細工で表現することにより、根底に流れる兄弟愛、家族愛そして親孝行の思想を、明確に見る者に伝えています。

作品の数々・・・
「飛翔(イーグル)」
飛翔は、2m70㎝にも及ぶ大作。製作に20年以上を要した作品だそうです。
北海道から九州の各地で行われた展覧会を吉正本氏と共に回っていましたが、「螺鈿工芸の素晴らしさを、更に多くの人に知ってもらうためにも、強さと愛情の象徴である鷲をギャラリーの象徴として迎えたい」という青木館長の熱い思いが吉氏に伝わり、あんしん館に常設されることになったのです。
吉氏は、今でも飛翔を気にかけて下さり、来館した際は、一番に飛翔の元へ行かれるそうです。吉氏が愛情を込めて作られた作品であることが伝わってきます。
また、これだけ大きな作品のため、かなりの重さになることから、移動には、クレーンを用い、取り扱い時には、指輪やベルトなどの装飾品は一切取り外すなど、作品を傷つけないよう慎重な配慮がなされたそうです。

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「亀の母子」
長寿の象徴として、日本でも古くから縁起がいい生き物として尊ばれている亀。
その甲羅には、動きや表情が一つ一つ違う亀が描かれています。

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「竜文様壺」
縁起の良い文字とされる「福」の字に、縁起が良いと言われる龍、長寿の象徴である亀が描かれた作品です。

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「ブタの子」
豚は、子だくさん。家族幸せの象徴であり、縁起物とされています。
紅色(赤色)も縁起の良い色なのだそうです。

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「カエル」
“幸福をむかえる”“人をむかえる”“無事かえる”など、「かえる」の言葉にかけて福招きや旅の安全の縁起物として日本でも愛されてきました。また、豊穣や繁栄、子宝などの象徴でもあります。
蛙は世界共通の縁起物なのです。

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「民族たんす」
韓国童話の物語が描かれています。
伝統文化の物語には、親孝行をすること、兄弟仲よくすること、助け合うことなど、儒教としての情操教育が盛り込まれています。それが、螺鈿の美しさにより、一層強く見る者の心に感じ入るものとなっています。

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「民族たんす」に描かれた人々
螺鈿細工によって、その心情は見事に表現されています。
作品の中の一場面、“娘の孝行により、目が見えるようになった父と再会し、喜び合う父娘の姿”は本当に見事です。

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「亀文様金庫」
ひとつひとつの図柄が、丁寧に施されています。

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亀文様金庫の鍵の部分。ここにまで、細工が施してあります。

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是非クイズに挑戦してみてください。

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日用小物・・・
あまりにも美しくて、使うのを躊躇してしまいそうですが、日常生活に使用されるものも展示されています。

「靑8角果盤」(果物台)

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「重箱」「小物入れ」「花瓶」など

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三面鏡の付いた化粧箱も素敵です。“美しくなるため、美しいものを持ちたい”と思う気持ちは世界共通なのかもしれません。

「唐草紋果盤」(果物台)
中心には、徳川家の家紋“三葉葵”
“三葉葵”は、日光東照宮に祀られている徳川家康公が征夷大将軍となって以降、一門親藩にのみ使うことが許された由緒ある紋です。
吉氏は、この由緒ある紋を作品に取り入れることを日光東照宮から承認されているのです。
“三葉葵”は、吉氏の他の作品にも見られます。

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螺鈿工芸品 販売コーナー
作品展前には、販売コーナーがあり、小物入れや宝石箱、アクセサリーが購入できます。
一対の鶴や亀が描かれた縁起物の螺鈿。
ご自分の宝箱にはもちろん、プレゼントにも大変喜ばれる逸品です。
神秘な輝きを放っています。

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日韓友好の架け橋

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青木ギャラリー館長であり、栃木県日韓親善協会会長を務める、北関東綜合警備保障株式会社 代表取締役社長 青木 勲氏。
「螺鈿工芸品を取り巻く伝統文化、そこにかかる名工の気の遠くなるような時間、それに魅せられる人々の想い…。それを知れば知るほど、螺鈿に秘められた美しさ、文化の奥深さに感じ入りました。芸術は語らずとも、その美しさから共通の絆が生まれる。芸術は、人々の絆を強め、互いの国の歴史に生じている摩擦や垣根さえ、取り払うことができる。国際親善とは、人間の体温(互いを思いやる気持ち)で、互いの心の氷を解かすことだと思うのです。」と話してくださった青木社長。
栃木県日韓親善協会の会長として、親善のための様々な事業を行っているなかで、螺鈿工芸と出会い、芸術が国際親善にとって重要な架け橋になり得ることを、吉正本氏の日本に対する親愛の深さから学ばれたそうです。

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青木社長が螺鈿に魅了されたのは、その神秘的な輝きが、“自然の恵みから生まれているもの”と知ったことから。しかし現在、海洋環境の影響等により、螺鈿細工に適した貝が減少しているそうです。世界共通である芸術を通して、自然の恵み、自然の尊さを知ってもらい、世界が、資源を守るために協力し合うようになるためにも、未来を担う子供たちの国際親善にも力を入れていきたいという想いをお話しされていました。
また、今後は、螺鈿に描かれている物語を子供たちに分かりやすく語ることで、芸術に触れてもらいながら作品に込められた思いを知ってもらう機会を作っていきたいとおっしゃっていました。

青木ギャラリー

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青木ギャラリーは、栃木県内の益子焼などの豊富な民芸品や有名作家の作品を展示・販売し、栃木県の文化発展に寄与したいと、北関東綜合警備保障株式会社 初代社長 青木忠三氏により、現地に開設されたギャラリーです。
現在は、今回ご紹介した常設展のほか、随時イベントが開催されています。過去には、松崎健氏の大皿展や益子焼展が開催されています。

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日光市の半月峠から望む景色。竹やぶに潜む虎の親子も勿論螺鈿細工です。

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取材にご対応いただいた、北関東綜合警備保障株式会社 代表取締役社長 青木勲氏(写真左)とこれトチ!取材メンバー。
近代的なビルの中に、こんな安らぎの場所があります。
写真では表現することのできない螺鈿細工の美しさを、是非ご自身の目でご確認ください。

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≪施設情報≫

「青木ギャラリー 韓国伝統工芸作品館」
住所    宇都宮市不動前1-3-14 北関東綜合警備保障株式会社 あんしん館ビル1階
電話    028-639-0307(お問い合わせ 平日、午前8:45~午後5:45まで)
開館時間  午前9:00~午後5:45(入館は 午後5:15まで)
休館日   土、日、祝日、振替休日、年末年始、展示替期間、その他指定日
入館料   一般 1,500円 高校・大学生 500円 中学生以下 無料
ホームページ  http://www.kitakantosok.co.jp

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≪推薦者情報≫

「青木ギャラリー 韓国伝統工芸作品館」さんをご推薦していただいたのは、グループAGの、浅沼公子さんです。

≪浅沼さんからの推薦コメント≫

浅沼公子顔写真商用で訪問した、宇都宮市不動前にある、総大理石が堅固な北関東綜合警備保障本社の帰りがけに、ふと覗いた「青木ギャラリー」。そこに展開されていたのは息をのむ神秘的できらびやかな螺鈿工芸品であった。これほどまでに、名工による大作品、これほどに綺麗な螺鈿、これほどに神秘な輝き。
日本にこれほどに多く作品が、一堂にあることを知らなかった。
海は、何という、かくも美しき贈り物をくだされたことか・・・。
海と名工に感謝しつつ、加えて日韓の親善と友好を祈る。

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≪取材情報≫

取材日   2013年10月4日(金)
取材者   浅沼・内藤・伊藤・黒﨑・松﨑

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